近大通信 司書課程

2020年3月司書資格取得。

いまだによくわからない著作権問題

著作権」については、前々から現実離れしていると思っていたのですが、学習してもその疑問は変わりませんでした。

 私は県立図書館の基礎研修(3年以内勤務者)に出るはずだったのですが、コロナで中止になりました。代わりに、自習教材がPDFで送られてきて読んでいます。その一つに、著作権についてのみっちりしたパワポ資料があり、勉強していたころを思い出したので、書いてみます。

 

著作権は、「著作者の保護」と「文化活動の推進」のバランスが大事です(似たようなことが「知る権利」と「プライバシーの保護」にもあてはまります)。つまり、やみくもに著作者を守ろうとすると、その貴重なアイディアが世に広まりにくい。しかし、文化の推進のために、なんでも公開可能にしてしまえば、著作者は守られない、というジレンマをどう両立するかというもの(というのが、教科書的内容)。

 

そのため、図書館では著作物のコピーをさまざまな制限のもとに行っています。その制限の中に「拡大はいけない」「トリミングはいけない」というものがあるのです。

これは、芸術作品(写真、美術)などそのまますべて見せなければならないという意味からです。

 

しかし、例えば私の市の図書館においては、新着雑誌は、ページの半分までという制約があります。=これは結果的に、著作物のトリミングになってしまう場合があり、著作権法とは矛盾するのです。

 

また、よく図書館や書店では、新聞書評等を掲示して、本を紹介するコーナーがありますね。これは、新聞そのものを掲示するのはOKですが、新聞のコピーはいけない、という取り決めになっています。=コピーは1部に限られ、個人が使うものという決まりがあり、複数や不特定多数で扱ってはいけないからです。でも、利用者は切り抜きかコピーか、を気にするでしょうか。利用者目線から言うと、正直、どっちでもよいです。

 

以前、日経新聞社がつくばエクスプレスに対し、「日経の記事を無断でコピーし社内ネットワークで共有して著作権を侵害した」と3500万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたという記事を見ました。

新聞著作権協議会の取り決めを知らなかったのかもしれませんが、そんなこともダメなの?って思います。案外、社内でスクラップして・・・というのは、世間で行われているのではないでしょうか。たまたま、それが明るみになったケースではないかと思います。

 

また、ツイッターで新聞記事を写真で写し、ツイートするスタイルもよく見ます。しかし、あれも著作権侵害ということになっています。でも、実際に、罰せられているケースなんてあるのでしょうか?多くは黙認ではないでしょうか(※1)

 

先日、図書館調べ学習コンクールの、市内の優秀賞の作品のレプリカを作り、図書館内に掲示しています。原本をコピーしましたが、その中に、災害の研究をした小5のお子さんの作品があり、古い新聞記事のコピーを7枚重ねて模造紙に資料として貼り付けていました。これは、著作権的には可能です。

前のエントリで、近大によるブログ掲載ご遠慮の要請は、字の文のまま紹介しましたが、あれは引用の要件を満たしてのものです。

 

また、近大のテストやレポートの「設題」も、本当は、それをブログにそのまま書けば著作権違反になるはずなんです。でも、罰せられていませんよね?

まあそれで、このブログでは、設題の原形をとどめないようにしながらも、学習している方にだけは通ずるように解答(=私の著作物です)を書いています。ただし、メディア授業の情報資源組織演習の解答については、設問をぼかしようがないため、このブログでは紹介しません。

 

著作権は、著作者の死後50年から70年になりました。無名の人の場合は、公表されてから70年。。。と伸びました。これによって、アーカイブの視点から、いろいろと問題が出てくるという文章を書いている専門家もおります。

 

私が著作権をうさんくさいと感じるのは、「著作者を守る」という意味合いに、カネの臭いを感じるからです。著作を出すということは、世の中に知らしめたいという自分の欲は満足させているんだから、もう十分じゃないの?と思ってしまうのです。

 

「作者不詳」でも、長らく世の中で、歌い継がれ、読み継がれるものが、力がある芸術なのだと私は思っています。

 

※1 ツイッター記事写真添付の正解は→こうです。許可を得ていますね。さすが図書館のアカウントですね。

 

関連:図書館情報技術論