近大通信 司書課程

2020年3月司書資格取得。

子供やYA世代への接し方等

このタイトルのテーマのレポートに関しては、提出後翌日とか同日中に戻ってきました。不合格の講評も的確でした。添削が2人体制だからでしょうか。設題が細かく長い分、考える材料も増えるので、こういうのが本来、大学のレポート&返却の形ではないかと思います。 

講師の顔が見えない通信課程は、返却までの日程・その設題・採点スタイルが、我々の勉強に大きな影響を及ぼします。それは、勉強という接点以外、講師との交流が皆無だから。教え方や採点方法・期間に納得がいかなくとも、それを挽回できるほど、私たちは生身の講師の姿を知りません。そして学生同士で愚痴も言えませんし、連帯して抗議もできず、待ちくたびれるばかり。

 

とにかく、レポート返却に1カ月もかかる先生がいるのは、一番困ります。近大は見逃さないでほしいですね。遅い先生がいるのなら、2人体制にしてはどうでしょうか。

 

 

<講評で深い考察を求められた点>

・フロワーワークの持っている大切な要素

・YA世代に対するフロアワークの配慮

・図書館ファンを増やすことについては、

 ○司書としての資質の向上

 ○直接サービス

 ○間接サービス

 ○イベントなどの重要性

 ○学校図書館を利用している子どもたちを公共図書館に誘導する方法

 

 <不合格レポートと添削>

   1、児童サービスの持つ意義児童サービスの意義は、子どもと本を結びつけ、子どもに読書の楽しみを伝え、定着させることである。読書習慣は子供の感性を磨き、人生を豊かにする。また、子どもが図書館で調べものができるようになれば、情報収集能力や課題解決力がつき、困難な社会を生き抜く武器を手にしたことになる。
     子どもは図書館を利用することによって、「本は皆のもの」という意識を培い、図書館の規則を守って大事にしようという気持ちが出てくる。つまり子どもの公共性を育てることができる。
     子どもの図書館通いの習慣は、周りの大人にも連鎖し、図書館の利用者、理解者も増えるという好循環も考えられる。
     
   2、フロアワークについて
   1)フロアに出る前の準備
   ①子どもについて知る
   フロアワークでの適切な働きかけには、フロアに出る前から準備が必要だ。貸出・返却処理のカウンターで子どもと接する時、子どもの名前やどんな本を読むのかを知っておく。笑顔で「こんな長いお話、読めたんだね」「期限を守ってくれてありがとう」など長所を認める。たわいもない会話で聞き上手になり、ユーモアの精神を持って接する。子どもは「自分を大切に考えている」「信用できる大人だ」「いろいろなことを知っている人だ」と思えば心を開く。やり取りの中で、子どもの生活環境なども見えてくるはずだ。
   公共機関の職員として、特定の子どもとばかりではなく、公平に接することが必要だ。
  ②子どもが興味を持つ分野を知る
   子どもが興味を持ちそうな良書を自分なりにリスト化し、それを30秒ぐらいでブックトークできるようにしておく(※1)。大人顔負けの知識を持っている子どももいる。本の専門化として日ごろから勉強し、知識を蓄えておかなければならない。学校の宿題や調べ学習等、外部から課された課題の解決の手助けができるように、参考図書を含めた資料への習熟、組織化、そしてそれを子どもにわかりやすく伝える技術も欠かせない。
 
    2)フロアワークでの働きかけ

子どもは何か困ったことがあっても、なかなか自分から質問に来られないもの。そんなようすを見かけたら、積極的にこちらから笑顔で声をかける。


   どういうことで困っているのかを知るためには、上手に質問しなければならない。図書館が初めてで使い方がわからないのか、なんとなく来て書架に何かおもしろいものはないか眺めているのか、それとも、テーマははっきりしているのに、目指す資料が見つからないのかなどによって対応も変わる。優しく聞きながら、一緒に書架を回り、子どものねらいを見極め、適切な資料を探して手渡す。自分で資料を見つけたい子どもには、あえて手を出さずに、ヒントを与えて見守る。過干渉や押しつけはいけない。  また、丁寧語で話すのがいいのか、そうでないのかは、年齢や子どもの感じ方に寄る。小さくても一人前に丁寧語で扱われたい子どももいる。日ごろの貸出などの定型サービスから、その子どもの性格を推し量ったり、会話の中で見定めていく。

→(合格レポートで書き直し)

フロアワークは児童サービスの中で最も重要である。子どもは図書館員に話しかけやすく、図書館員は子どもと同じ目線でゆっくりと適切に質問し、子どもの要求を聞き出せるからである。フロアワークで大切な要素は、図書館員は、子どもが困っているのではないかと思ったら、積極的にこちらから笑顔で声をかけることだ。また、どんな本を探しているのか、どんな課題を解決しようとしているのかを知るための的確な質問も大切だ。子どもの言葉はあいまいなことが多いため、子どもの読書経験や能力、興味などを焦らずに聞き取り、適切にアドバイスする。

ふだんから、子どもが興味を持ちそうな分野の良書を自分なりにリスト化し、それを30秒ぐらいでブックトークできるようにしておく(※1)ことも大切である。

適切な資料を探して手渡すか、自分で資料を見つけたい子どもには、あえて手を出さずにヒントを与えて見守る。過干渉や押しつけはいけない。求める資料を得られた子どもは、図書館員に対して、信頼感を持つだろう。

 


YA世代はあまりべたべたするよりも一人の大人として尊重し、事務的な対応をしたほうがいい場合もある。

 →(合格レポートで追加)

YA世代は、子ども扱いせず、一人の大人として尊重して話す。相手の感情の波に振り回されることのないよう、冷静に忍耐強く、聞き上手であることが大切だ。身の上相談のようになることもあるので、カウンセリングマインドを持っているとよい。児童と違って、根掘り葉掘り聞くのが逆効果になる場合もあるので、性格によって対応する。質問を具体化するために、聞き取って紙に書くのもよい。課題解決能力をつけるため、求める資料を差し出すのではなく、本人が根気よく調べるのを手助けするという姿勢でいたほうが、あとあと本人のためになることを心に留めておく。

 

  3、子どもたちが将来図書館のファンになるために司書として取り組むこと
   子どもたちへの愛情を持つことが第一である。地域の大人として、子どもを見守る存在になることである。顔見知りの司書がいれば、図書館にも親しみを持つだろう。
   司書の専門性を高めることはもちろん重要だ。年齢も性格もさまざまな子どものための良い本があり、それを子どもに結び付ける(※2)努力が必要である。定番のよい絵本や物語本の知識はもちろん、性別や性格、興味関心など、その子どもに合った本を紹介できればよい。返却の時に、どの本が面白かったかなど会話するのもよいだろう。
   子どもに人気の高い主題別コーナーをこまめにいろいろつくるのも一案だ。テーマは、ピンポイントで細かいほうが新鮮だ。例えば「新幹線」ではなく「東北新幹線」とか、「手芸」ではなく「ビーズ細工」のようにし、あまり反応がないならばどんどん変えていき、動きのある本棚にする。子どもに「どんなコーナーがあるといい?」と聞いて作るのもいい。同じ趣味の友達を連れてきたり、図書館で知り合いができるかもしれない。詳しい子を「〇〇図書館・東北新幹線こども博士」などに委嘱し、自慢の写真や作品を借りて展示してもいい。

→(合格レポートで書き直し)

  司書は、子どもたちへの愛情を持ち、また専門性を高めるため常に努力が必要だ。直接サービスである貸出や返却などのわずかなやり取りでも、笑顔でやさしく対応する。「どの本が面白かった?」など聞いて、子どもの名前、興味関心、生活、家庭環境などの情報を仕入れる。それが、読書案内やレファレンスサービスなど、もっと突っ込んだ子どもの要求にこたえられる秘訣である。
   子どもがストレスなく資料にたどり着けるため、さまざまな間接サービスが必要だ。大人以上の知識を持っている子どももいるので、日ごろから勉強し、知識を蓄えておかなければならない。子どもが興味を持つテーマについての本のリストをパスファインダーにするだけではなく、どんどん情報が新しくなるので差し替えていく。
    参考図書を含めた資料への習熟、組織化が欠かせない。
   目指す資料を得られた子供は、司書の博識さを信用し、図書館とは、いろいろなことを知ることができて面白い場所だと体感できるだろう。
   イベントとしては、子どもに聞いて、興味のある小さな主題別コーナーを期間限定でどんどん作っていくとよい。動きがあることで子どもの目を引く。例えば「〇〇図書館恐竜子ども博士」のように詳しい子どもを委嘱し、自慢の写真や作品を借りて一緒に並べるのも一案だ。
   また、館内整理日や蔵書点検日などに、学校があるので午後からでも「半日図書館員」とでもして子どもを募集し、図書館の隅々まで自由に見て回る日を設けてもよい。司書は子どもからすぐ質問のできる場所にいて適切に答える。利用者がいない図書館は違ったものに映るだろう。

 (合格レポート追加)

 学校図書館にしか行かない子どもを、公共図書館にも向けさせるには、司書教諭や学校図書館司書と知り合いになるのが早道だ。学校の行事予定表をいただき、例えば遠足や修学旅行の前に、行き先に合わせた本のリストを紹介すれば喜ばれる。学校図書館で共同の読み聞かせやストーリーテリングもよい。自館の関連蔵書を子どもにも紹介できる。夏休み前なら、読書感想文の本のリストを作ったり、自由研究の取り組み方講座を共同で開く。学校図書館で、公共図書館司書の顔を覚えた子どもたちは、公共図書館にも行ってみようかと思うだろう。世の中には、たくさんの面白い「図書館という場所」があると気づかせることが、図書館ファンを作る第一歩である。

※1 堀川照代「児童サービス論」P65 日本図書館協会 1998
※2  石井桃子石井桃子集5 新編 子どもの図書館」P188 岩波書店 1999

 

 

なお、「館内整理日における子供の見学」という案は、現実に受け入れられない可能性があります。