近大通信 司書課程

2020年3月司書資格取得。

NDCは万全ではない

昨日、隣県の有名な、いわゆる「いい図書館」に行ってきました。1年ぶりです。

 図書館概論のレポート作成のため、昨年9月末、館長にお話を聞き、見学して以来です。コロナの影響で座席数が間引いてあったり、滞在時間が1時間などで回転が速いためかすいており、三密にはない快適な環境でした。

 

薬師院仁志・薬師院はるみ著「公共図書館が消滅する日」にあるように、図書館は貸出冊数を伸ばすため、ぬいぐるみお泊り会やら、読書通帳やら、本来の図書館業務からかけ離れたイベントに力を入れるようになってきています。一番の主眼は「借りやすい棚」に尽きるはずですが、ここの図書館は、その王道の棚を作っていると毎回思います。

 

こちらの図書館は、NDC通りに本を並べるのではなく、主題が似通ったものをNDCにとらわれずに近くの棚に寄せる努力が感じられ、利用者になった場合、とても便利です(ただし、排架は大変だろうと思われます)。

 

自館でのNDCと番号の違う本が2冊ありました。

武田頼政ブルーインパルス」自館では538.7(軍用機)ですが、こちら398.21(航空自衛隊)です。私もその後、いろいろな空自の資料も調べたのですが、やはり3類の方が適しているかなと思っています。

★佐々木典士「ぼくたちにもうモノは必要ない」自館では159(人生訓、啓発本)ですが、こちら597.5(収納)。これは、技術的なことよりも考え方を書いているので、私は自館のほうがしっくりくるとは思います。

 

どうやって番号を採用しているのかを聞いてみました。すると、トーハンと日販の2か所から本を入れており、その前に職員が「みはからい選書」ということで、装備する前の本をNDCも含めて検討することがあるということです。そして、ついてきたNDCも、主題ごとに分かれた棚管理チームで検討するそうです。

 

また、基本、こちらの館は著者記号をNDCの下段に記しており、料理本では著者ごとに分かれており見やすかったです。ただし料理も細分化されるし、編著でなく監修の場合はタイトルの頭文字からとるので、逆に見難いケースもあるとのことでした。

 

コンピュータの棚は、0、3、5類など各々の棚から集めており、非常に見やすいです。多くが色テープを付して排架し易いようになっているのですが、「コンピュータ一般」なんかは全く区分けがなく、これは排架者の力量でここに排架するしかありません。これは非常に高度なことだと思いました。自館では、中学生ボランティアに排架作業をさせますが、この館ではできないだろうと思わされました。

 

この積極的というか戦略的な並びを見ると、自館がいかに、機械的にNDCの順、そして背の順に排架しているのかがわかります。先日、排架作業でいろいろ気になる点があり、上司に言ってみたのですが、結果からいうと、言うべきではなかったなと思います。やはりその図書館には、その図書館がそうしてきた理由があるということでした。

 

【関連:図書館概論、情報資源組織論、図書館制度・経営論】