小説の棚で排架していると、利用者の方(中高年女性)に呼び止められました。手には本を数冊抱えていました。
「おすすめの作家を教えてくれませんか」
「あっ、はい、どんな本を借りられます?」と、何の本を読むのかなと聞くと
「いえ、これはいいんです、あの、いろいろ読んでいて、新しい作家を探しているんです」と、本のタイトルは見せてもらえませんでした・・・重要な判断材料だったのですが・・・
ここで私は、新春福袋を思い出しました。私の担当は小説だったので、
★ぐっとくる時代小説
青山文平「遠縁の女」
★心があたたかくなる小説
梨木香歩「家守綺譚」
奥田英朗「コロナと潜水服」
★魂を震わす小説
白石一文「ほかならぬ人へ」
まず三浦さんの棚へお連れすると「読んだことあります」
ならば有川さんの棚へお連れすると「読んだことあります」
それではと私の好きな小説家四天王の一人、垣谷美雨さんの棚へお連れすると、まずい、出払っていて1冊もない!しかし、その方は
「垣谷さん?、あ、知らない!」
「私も全部読破していますが、最近とても人気ですよ。それで、今、ちょうど本が無いのです。あの、天海祐希が主演した映画・・・『老後の資金がありません』ご存知ですか?あれも垣谷さんなんですよ」
「あ、そうなんですか!じゃあ、次、今度借りてみます」
しかし何もお渡しできないのはなぁと思い、はやり私の好きな四天王のうちの一人、奥田さんの棚を見ると、あるではないか、「コロナと潜水服」、そして少し前に出た「罪の轍」も!
「私、奥田さんも大好きなんです。明るいコメディータッチのも、暗く、重いのと両方あってどちらもよいですよ!この「コロナと」は1年前に出ましたが、とても心があったまるいいお話ですよ。「罪の轍」も深く考えさせられました」と言うと、
「奥田さん、読んだことありません!じゃあ、2冊とも借りていきます」と。よかったー。
福袋も、実は新春初日に、30袋出して、3袋余って、そのうちの一つが私の「魂を震わす小説」でした。売れ残ったみたいでとても残念で、悲しかったのですけれど、翌日には出ていったようです。
そして、同僚から「Kさんの魂の震わすの小説の福袋の中に入っていた本、とてもよかったって、お客さんが返すときに言っていかれましたよ」といわれてよかったなぁと思いました。
これからも、いい本と、人とをつなぐ橋渡しができたらいいなと思います。そのためには、読書量を増やし、情報の鬼となること。がんばるぞ。