近大通信 司書課程

2020年3月司書資格取得。

リカレント教育の思想とその社会的背景

生涯教育的思想に続き、リカレント教育についての設題です。

 不合格レポート(部分)

    リカレント教育は、生涯教育と関連する概念であるが、教育界ではなく経済分野から生まれた。スウェーデンの経済学者ゴスタ・レーンが提唱し、1970年にOECDの教育政策会議で取り上げられ、1973年に報告書が出て定着した。何歳になっても学び直しができ、教育と労働・諸活動の期間が循環・回帰することを目指している。一生のうち、いつでも自由に学べることと、適切な評価が与えられることが重要である。
  リカレント教育の本来の意味は、職業上必要な技術・知識を習得するために、就職と就学を繰り返すことであり、その背景には、経済発展という実利的な関心からの教育理念の発想がある。教育界と経済界の思惑が一致したとも言えよう。
    20世紀後半には、以下の問題が浮かび上がってきていた(※1)。
     1)中途退学者の増大など中等教育の「疾患」の顕在化
     2)青少年にとっての社会的経験及び青少年による社会的貢献の機会が少ないこと
     3)高度な技術を身につけた人材の需給不均衡
     4)正規の教育制度に対する伝統的な成人教育部門の補完機能の不十分さ
     5)知識の急速な陳腐化
     6)世代間の教育機会における不均衡
    これらを解消するため、先進国を中心に、中等教育から高等教育の教育機会の拡大、延長に取り組んだが、青少年の社会参加の機会が遅れたり、青少年時代に受 けた教育だけでは、労働や社会の変化に対応できないという問題点が浮き彫りになってきた。マスメディアの発達や都市人口の増加など、価値観も多様化し、学校だけでは対応できなくなってきた。そのような社会情勢を背景にリカレント教育の思想が発現した。

 ※1 「生涯学習研究e事典 リカレント教育」ejiten/javea.or.jp/contenta132.html

 これも、社会的背景ばかり述べて、リカレント教育そのものを述べていないという講評をいただきました。

 

合格レポート(部分)

  リカレント教育は、教育界ではなく経済分野から生まれた。スウェーデンの経済学者ゴスタ・レーンが提唱し 、1970年にOECDの教育政策会議で取り上げられ、1973年に報告書が出されて定着した。
    このリカレント教育の思想が生まれた20世紀後半には、さまざまな問題が浮かび上がってきていた。中途退学者の増大など中等教育の「疾患」の顕在化、青少年にとっての社会的経験及び青少年による社会的貢献の機会の少なさ、高度な技術を身に付けた人材の需要不均衡、正規の教育制度に対する伝統的な成人教育部門の補完機能の不十分さ、知識の急激な陳腐化、世代間の教育機会における不均衡などである(※2)。
  これらを解消するため、国としては中等教育から高等教育の教育機会の拡大、延長に取組んだが、青少年の社会参加が遅れたり、青少年時代に受けた教育だけでは労働や社会の変化に対応できないという側面が出ていた。
  マスメディアの発達や都市人口の増加など、価値観も多様化し、学校だけでは対応できなくなってきていた。
    リカレント教育は、教育の期間が終わって労働の期間に入るというような一方的なものではなく、学校教育を人生の各期にわたって分散させようとする理念である。その本来の意味は、フルタイムの教育の期間と、フルタイムの労働の期間を交互に繰り返すということで、職業上必要な知識や技術を習得するということであり、教育の「循環」「回帰」という意味を持つ。しかし、日本では長期雇用という面から、フルタイムの教育と労働の循環というのはまれであり、働きながら学んだり、心の豊かさのために学んだり、学校以外の場で学ぶなど、諸外国よりも広義の意味で使われている(※3)。

※2 文科省「平成7年度我が国の文教政策」mext.go.jp/b̠menu/hakusho/html/hpad199501/hpad199501̠2̠093.html

※3 同