近大通信 司書課程

2020年3月司書資格取得。

ラングランの生涯教育的思想とその社会的背景

レポートのアップについては、これも試行錯誤中です。近大事務局による提出レポート掲載禁止要請のため、タイトルにはレポートの設題を分解し、重要語(概念)として載せ、本文には再提出部分とその後の合格となった部分を掲載してみます。 

不合格レポート(部分)

 生涯教育の概念は、1965年パリで開かれたユネスコの成人教育に関する会議で、ポール・ラングランが提唱した。「education  permanente(永久教育)」というフランス語を用いたが、その後、英語の「life-long  integrated  education(生涯教育)」が普及した。教育は人生の初期に学校で受けるものだけではなく、学校に行く前・終わった後も、また学校以外の機関も統合的に考える必要があるということだ。

 この思想が生まれる背景には、20世紀後半の科学技術の進歩と、それによる平均寿命の増加、余暇時間の拡など、世界的に社会が急激に変化したことがある。第二次世界大戦が終わり、冷戦構造の時代でもある。日本は敗戦後、高度成長期に入る。
    第二次世界大戦当時に植民地とされていた国々が独立していくが、学校がまだ整備されていない国々も存在した。日本も、まだ「後進国」であったため、学校の制度を整備することに努めたが、「先進国」は、科学技術のレベルで、はるか遠く先に進んでいた。宇宙開発の競争、人工衛星の打ち上げ、有人衛星の地球周回軌道からの帰還技術の確立、原子力発電という原子力の平和利用など、当時の日本からすれば夢物語であった。学校を整備 するだけでは不十分であった。
    日常生活の中でも、労働の中でも、あらゆる場面で教育という営みを考えることが社会の課題となった。科学技術の進歩に伴い、学校で教わった知識はすぐに古くなって役に立たなくなってしまうため、その後も教育を行わないと、新しい知識を活用できなくなってしまうからである。
    それに加え、日本においては、敗戦を機にこれまで人々が信じてきたものが否定されるという大きな変化があった。天皇主権から国民主権になり、「家」の概念は喪失し、自立した個人が社会の構成単位と考えられるようになった。それまでの学校教育で学んできたことがらが刷新されるとともに、学校を出た後にも、新たな教育の機会が必要になったのである。

 

敗因は、私が設題を読み違えた点です。「ラングランの生涯教育的思想」+「社会的背景」なのに、「社会的背景」しか述べていません。

講評では、わざわざ先生が「ラングランの教育についてもっと詳しく述べてください」と書いてくださったので、書き直しました。

 

以下、合格レポート(部分)。

 生涯教育の概念の発現は、1965年パリで開かれたユネスコの成人教育に関する会議で、ポール・ラングラ ンが「education  permanent」というワーキングペーパーを提出したことに始まる。その後、「education  life-long  integrated  education」と表記され、これらの日本語訳として「生涯教育」という語が広まった。
      この思想が生まれた背景には、20世紀後半の科学技術の進歩と、それによる平均寿命の増加、余暇時間の拡大など、社会が急激に変化したことがある。日本は敗戦後、高度成長期に入るが、まずは、学校の制度を整備することで精一杯であった。しかし、先進国は、宇宙開発の競争、原子力の平和利用など、当時の日本のずっと先を行っていた。それらに追いつくためには、学校における青年期までの教育だけでは不十分であった。学んだことはどんどん古く使えなくなっていくため、日常生活や労働などあらゆる場面で教育という営みを考え、生涯にわたって教育を続けることが必須になった。
  それに加え、日本においては敗戦を機にこれまでの価値観がガラッと変わった。明治以来の学校教育で学んできたことを刷新するにしても、学校以外の時間的、空間的な場面においても、個人の自立や懐疑の精神というような、個人主義の理念を学ぶ必要が出てきたのである。これはラングランの生涯教育的思想と重なる。
 
 ラングランの提出したワーキングペーパーには、以下の目標が掲げられている(※1)。
 (1)人の誕生から死に至るまでの人生の一生を通じて教育の機会を提供する。
 (2)人間発達の統合的な統一性という視点から、さまざまな教育を調査させ、統合したものにする。

 (3)労働日の調整、教育休暇、文化休暇等の措置を促進する。
   (4)小・中・高・大学とも地域社会学校としての役割、地域文化センターとしての役割を果たすように勧奨する。
   (5)従来の教育についての考え方を根本的に改め、教育本来の姿に戻すため、この理念の浸透に努める。それを実現するために、教育には「垂直的統合」と「水平的統合」が必要だとした。すなわち、人生の最初の時期にだけ教育を受けるのではなく、学校に入る前や学校を出たあとも、人生の各段階においてそれに見合った教育を受けることと、学校という施設の中だけでなく、社会のさまざまな組織、機関で教育を受けることである。※1 Wikipedia「ポール・ラングラン」

 これで合格となりました。