近大通信 司書課程

2020年3月司書資格取得。

オープンサイエンスの浸透を・・・

読売新聞におもしろい記事が載っていました。

 

ちょっと、司書の資格の勉強をしていた時、疑問に思っていたことをスパーンとかっとばしてくれるような文章でした。前使っていたテキストには、こういうことは載っていませんでした。が、とても重要な視点と思います。

www.yomiuri.co.jp

(残念ながら、会員限定記事のため、リンク先は読めないと思いますが・・・。

 

国立遺伝学研究所教授、有田正規氏の論考です。

論文を出すことは、研究者の評価につながるのは本当か?という問いがまず、あります(特に日本では、論文数を気にするが、諸外国ではさほどでもないそうです。

ネットで無料閲覧できる「オープンアクセス(OA)」は、一見、便利なようだが、お金もかかりすぎるし、どんどん論文数も増え続け、誰も読まなくなっても歯止めがからないと苦言を呈しています。

 

そして、研究者や国民に知ってもらいたいとするのが論文の出版にかかるお金とのこと。

最近増えてきたOAの場合、研究者が払う掲載料は学術誌によって相当違いますが、数十万円の例が多く、有名なネイチャー誌は1万1690ドル(約170万円)です。論文1本を載せるための料金ですよ。「高すぎない?」と思うのが常識的な感覚でしょう。

それよりも、今、大切なのは、「オープンサイエンス」だと主張します。今年、G7科学技術相会合で主題の一つになったそうです。先端科学の知識や活動を、専門家の世界にとどめず、多くの市民に開放していくことです。

 

確かに、科学者の書く論文は、専門用語のせいもあるでしょうが、一般人の私が読んでも、意味がわからない難しすぎるものが多いと感じます。

 

「オープンサイエンス」でぐぐってみると、日本学術会議の「提言」なるものが上位でヒットします。

 

しかし、これ自体、38ページもあって・・・読む気がしません。さらさらと流してみても、なんというか難しい言葉を羅列しているだけではないでしょうか。有田氏がビッグデータについて疑問を呈しているのとは、反対の立場にも見えます。

 

有田氏の提言はこちらです。

これを進めるには、科学者が自分の研究を市民に分かりやすく伝えたり、中高生に教えたりする作業を、もっと評価しないといけない。高校の授業の中へ、どんどん研究者が入っていってよいと思う。英語で論文を書けば評価されるけど、それを日本語で発表しても大して評価されない今の仕組みは間違っている。社会の側からも「こんなにお金をかけて、大半の日本人に分からない文章しか書かないなんて、何のための研究ですか?」と、声を上げてほしい。

 大学の図書館に一般の人がもっと気軽に入れるようにする施策も重要だと思います。そうすれば、日本語の情報を増やそうということに自然となるでしょう。研究者ばかりが利用して購読誌を決めていると、そこに商業出版社が付け込む隙も生まれます。

 オープンサイエンスの中核は人材の育成です。先端科学にかかわる人々のすそ野を広げることで、優秀な研究人材を獲得していこうという明確な戦略を、欧米諸国は描いています。広げる対象は、まずは各地域内であり、さらに欧州はアフリカ、米国は中南米が主眼です。日本も人口が減り、研究人材が先細るのは間違いないのですから、国内とアジアを見据えてしっかり取り組まねばなりません。

 アジアへの発信に力を入れる必要があります。日本語の論文を各国語へ自動翻訳するといった仕組みを作るのも一案です。翻訳しやすい、論旨の明快な日本語で書く技術も重要でしょう。西洋で作り出されてきた学術出版の仕組みに適応するだけでなく、日本の発展に必要な情報発信の仕組みを自ら考え、作り出すべき時です。

震災後、放射能問題が起きた時、一部の科学者は正しい知識を広めようとしましたが、「皆にわかるように伝達するのは科学者の仕事ではない。それはサイエンス・コミニュケーターの仕事だ」と言った科学者を、私は知っています。

福島市で、放射能に関する勉強会をしたときに知り合いになった科学者が言っていました)しかし、そういう考えでいる限り、専門家の言葉は、一般には届かないと思いました。

 

現に今、原発の処理水問題が、中国からの政治的行動につながってしまったのは、日本において一定数の「放射線に関する正しい理解をしない」人たちの存在が大きいのです。

 

「処理水」を「汚染水」と呼ぶこと自体から私は問題だと思っていますが(いわば「福島」を「フクシマ」を呼ぶようなもの)、日本学術会議には「東日本大震災復興支援委員会汚染水問題対応検討分科会」というものが、少なくとも2016年当時で存在していました。その後、更新されたのかどうかはわかりませんが、少なくとも、今回の処理水放出に関しては、特に発信していることもないようです。

 

日本学術会議を中心に、オープンサイエンスをもっと普及させてほしいです。